2011年5月14日土曜日

誤嚥性肺炎

http://www.jrs.or.jp/home/modules/citizen/index.php?content_id=11Last
http://www.dental-shuttle.co.jp/ants/oral/sonof10.htm
http://www5d.biglobe.ne.jp/~taberu/goennseihaienn%20.htm
http://www.m3.com/academy/report/article/136037/?pageFrom=conference
http://www.geocities.jp/pressure_ulcer/sub529.htm


誤嚥性肺炎について(1)


食べ物や飲み物を飲み込むことを「嚥下」といい,嚥下が正しく働かないことを嚥下障害といいます.
  • 嚥下障害の主な病態は①飲み込みの障害②気道内への流入(誤嚥)に大別されます.
  • 誤嚥とは,正常な嚥下の過程において,食物が咽頭および気管に入り込むことと定義されます.誤嚥は,いろいろなときに生じます.
    1. 飲み込むとき,食べ物などが気管に入ってしまう.
    2. 睡眠中(特に薬物の影響下にあるとき)に喉に逆流した胃液などを,知らずに気管に吸い込んでしまう.
    3. 嘔吐したときに吐瀉物を気管に吸い込んでしまう.
  • 誤嚥性肺炎は,食物,液体,胃内容物または咽頭分泌物を誤嚥あるいは誤飲し,咳反射などでこれを排除できないときに発生します.

嚥下障害の原因
  • 嚥下障害は,脳血管障害,口腔・咽頭・喉頭疾患,食道疾患などにみられ,その結果,患者さんは低栄養,脱水症状,食べる楽しみの喪失,誤嚥性肺炎や窒息の危険など,さまざまな不利を被ることになります.
  • 生理的な原因には,嚥下咀嚼に関与する神経・筋,知覚の低下,唾液分泌低下に伴う口内乾燥,ムシ歯,義歯などの関与が挙げられます.
  • 高齢になると飲み込みにくくなるのは,老化に伴って起きる生理的な変化のほか,病気や薬の影響があることもあります.
  • 病気では,痴呆症,脳血管障害,神経系の病気などにより,うまく飲み込めなくなることがあります.
  • さまざまな医療処置(気管切開,経鼻胃チューブの留置,胃ろう等)や,薬物(睡眠薬,精神安定剤,向神経薬)も原因になります.
  • 服薬の影響でだ液の分泌が悪くなって,飲み込みにくくなることもあります.


注意すべき症状
  1. 嚥下障害で,まず初めに起こるのが,「食べ物が口に残る,口からよくこぼす,食事の時間が長引く,パサパサした食べ物が飲み込みにくい,お茶にむせる」などの症状です.これらの症状が見られた場合は,飲み込む能力が低下し始めていることが疑われます.
  2. もう少し進むと,「せき込む,むせる,たんが出る」の3つの症状が見られ,さらに悪化すると,誤嚥するようになります.また,「食後,ガラガラ声になったり,声がかすれる,食事をすると疲れる,原因不明の体重減少」などの症状も起こります.
  3. 飲み込む能力がさらに低下すると,気管に入った食べ物やだ液が肺に入り,肺炎(誤嚥性肺炎)を起こしたり,食べ物がのどに詰まって窒息することもあります.
  4. また,食べる量が減って栄養不足になったり,水を飲む量が減って脱水状態になるなど,全身の健康状態を悪化させます.

誤嚥性肺炎の発症機序
  1. 狭義の誤嚥
    • 飲み込むとき,食べ物などが気管に入ってしまう.
  2. 微少吸引
    • 嚥下動作を伴わず,口腔内あるいは咽頭内容物が咽頭から気管へ落ち込む吸引または流入.
    • 経鼻チューブが入っている方は,常にこの現象が起こっています.
  3. 胃内容物の誤嚥
    • 嘔吐後などに胃内容物を誤嚥した場合に生じます.食物残渣による気道閉塞,胃液による化学性肺臓炎が起こり,著しい低酸素血症をきたします.
    • 寝たきりの高齢者は便秘しやすく,便秘が原因の腸閉塞を起こして嘔吐することが少なくありません.また,食道裂孔ヘルニアのある高齢者は,睡眠時に胃内容物が逆流しやすいといわれています.
    • 胃ろ流動食をトロメリンで固形化すると,逆流を減らすことができます.

予防
  • 誤嚥防止
    • 誤 嚥性肺炎は,基礎疾患をもった全身状態の低下した患者さんに発生しやすく,いったん発症 すると治療は困難で,死亡率も高いため,発症の予防が大変重要になります.そのためには,誤嚥を起こしやすい病態の改善が重要であり,それぞれの基礎疾患 に対する治療,ならびに可能な限り機械的要因の除去が必要となります.
    • 誤嚥を起こしやすい患者さんの食事介助では,起座位または上半身をやや高くした体位とし,少量ずつゆっくり時間をかけて,患者さんの嚥下能力に合わせる必要があります.日常の排便コントロールや,食後の半座位の保持などの工夫により腹圧をかけないことが食物残渣の胃食道逆流や嘔吐の防止に有効とされております.
    • 食道裂孔ヘルニアのある患者さんや,腹満があり嘔吐をきたしやすい患者さんでは,日常より排便のコントロールを行い,食後半座位の保持などの工夫により腹圧をかけないようにし,食物残渣の胃食道逆流や嘔吐を防止するようにします.
    • 誤嚥に備えて吸引器を常備するとともに,痰の多い患者さんは食事前に吸引しておくことも大切になります.

.
  • 口腔ケア
     
    • 加齢により唾液の分泌量は低下するため,口腔内の清潔度は低下し,各種の細菌が繁殖してきます.また,残存歯が少なくなると,咀嚼,発音に支障をきたすので,患者さん自身の口腔管理に加え,介護者による清潔の援助すなわち〝口腔ケア〟が必要となってきます.
    • 口 腔ケアが適切に行われると,口腔内の汚れは取り除かれ,唾液の分泌は促進し, 自C浄作用も働き口腔内分泌物は清浄化されていきます.したがって,口腔・咽頭粘液が微少吸引により下気道に流れ込んでも,ただちに肺炎を発症する可能性 は少なく,特に就寝前の口腔ケアは,寝たきり患者さんの肺炎の予防に有効と考えられます.

治療
  • 経口摂取や経腸栄養を一旦中止して,点滴をします.酸素吸入,抗生物質などの投与をして肺炎の治癒を期待します.ほとんどの誤嚥性肺炎は市中肺炎(病院外で発症した)ですから,MRSAなどが検出されてもバンコマイシンなどの高価な薬は使いません.
  • 筆者の治療プロトコールは,①皮下注射による1000ml以下の補液,②パンスポリン1-2g・日またはユナシン1.5-3g・日を点滴に混注.③ラシックス10-20mgを点滴に混注.という,至って簡略なものです.
  • 1週間以内にNSTによる評価を行ないます.ほとんどの場合,1週間で酸素吸入を離脱し急性期を乗り切ります.
  • 問題は,経口摂取や経腸栄養の開始時期と摂取量です.
    • タイミングが遅れるとこの間に栄養低下が進みます.
    • タイミングが早すぎると,肺炎再発になります.
    • 肺炎を再発すると,治療再開している間に栄養低下が進むという悪循環に陥ります.
    • 胃ろう手術の時期も問題です.理想的には栄養の良い状態のときにするのが一番です.要するに,順調に経鼻経管栄養ができている,あるいはまだ少しは食事ができる時期にやっておけば良いのですが,ご家族の理解を得るのが困難です.
    • 多くの場合,,肺炎を繰り返すようになってやっと了解してもらえたものの,栄養状態が悪すぎて胃ろう手術ができないことになりがちです.


痴呆(認知症)患者が誤嚥性肺炎を繰り返す場合の比較研究.
  • 自分で食事ができる方での検討です.
    ①好きなように食べさせた.②食事を禁止して(経鼻・胃ろう)経管栄養をした.
    いずれの場合も平均余命3ヶ月であったとそうです.
    またいくつかの研究でも,胃ろう手術をしても誤嚥性肺炎を防ぐことができなかったという結論が出ております.

http://www.geocities.jp/pressure_ulcer/sub529.htm

http://www.geocities.jp/pressure_ulcer/sub530.htm
誤嚥性肺炎について(2)

■この書式は,患者・家族に説明をするときに実際に使っております.
ご家族を看取った経験のある方は一読して理解されますが,そのような経験のない方には何度も説明してご理解をいただいております.


実際の書式はこちらからダウンロードできます.(Word 102KB)

■
  • 平成  年  月  日
  • 説明者 職名 氏名
  • 説明を受けた方
  • 本人 
  • 生年月日
  • 代理人 続柄 氏名 
  • 住所   電話番号
  • 代理人 続柄 氏名 
  • 住所   電話番号

■【診断】あなたの病気は,誤嚥性肺炎,脳血管性痴呆症(認知症)です.
  • 誤嚥性肺炎は老人性肺炎ともいわれ,高齢者の最大の死因です.
  • しばしば難治性かつ再発性で,呼吸不全や心不全をおこし,人工呼吸器や心臓マッサージなどを含む治療(CPR)が必要になることがあります.このような場合救命率が低いのが通例です.

■【誤嚥性肺炎の起こるわけ】高齢者の肺炎は,誤嚥(口のなかの唾液,痰(たん),食物を気管の中に吸い込むことにより)によりおきます.
  • 脳血管性障害(脳梗塞,脳出血)や,パーキンソン症候群,アルツハイマー型痴呆症(認知症)の方は,嚥下障害(喉の神経,筋肉の働きが正常にはたらかない)があり,嚥下反射や咳反射が減弱しているため肺炎を越しやすいことは,よく知られた事実です.
  • 一度食べた食事が,胃から食道,喉に逆流して誤嚥して起きることもあります.便秘や大腸がんなどで腸の通過が悪くなって嘔吐したときに吐瀉物を気管に吸い込んで起きることもあります.経鼻経管栄養(鼻から胃に管を入れて栄養剤をいれる)や,胃ろう(胃に穴を開けて管を入れる手術)による治療をしている場合も高率に発生します.胃ろうのほうが,経鼻経管栄養より肺炎の発生が少ないのは事実ですが,皆無というわけではありません.
  • 高齢者の肺炎は,夜つくられると言われます.健 康な老人であれば夜 ぐっすり寝ていても嚥下反射はあまり低下しないのですが,脳血管性障害のある方や向精神薬(鎮静剤など)を服用している方は,熟睡しているときに嚥下反射 が極端に落ちます.すなわち,夜間睡眠中に不顕性誤嚥(胃液が肺の中に入る)を起こしてくるということがあります.


■【治療】食事(流動食をふくめ)を中止し,点滴(末梢静脈注射,中心静脈注射,皮下注射)により水分の補給と抗生剤の投与をします.
  • 高齢者には,皮下注射を推奨します(別紙参照)
  • 病状に応じて酸素吸入をします.重症化した場合,呼吸不全,心不全をおこして,人工呼吸器や心臓マッサージなどを含む治療(救命処置・CPR)が必要になることがありますが,このような場合は救命率が低いのが通例です.
  • 肺炎が改善し,熱が下がったら,食事や流動食を開始します.
    • 口腔外科医による嚥下機能評価のための検査VFR(レントゲンに映るようにした特別な検査食による検査と内視鏡による検査)をすることがあります.
    • 経口摂取は,段階的に行います.
    • 経口摂取困難な場合は,経管栄養(胃ろうも含む)で治療することができます.
    • 経口摂取(口から食べる),経鼻経管栄養,胃ろう手術のいずれの場合も「肺炎再発」の危険があり,開始,中止,肺炎治療再開,食事や流動食の方法の変更,を繰り返すことがあります.
    • 食事や流動食摂取困難な場合,長期間にわたり点滴(末梢静脈注射,中心静脈注射,皮下注射)をすることがあります.合併症として,栄養失調,代謝異常,感染症,出血,カテーテル挿入時の事故があります.いずれの治療法でも,平均余命は1-3ヶ月になります.


■【経過】高齢者の入院で,留意いただきたいことがあります.それは若い人と違って,入院したら必ずしも良くなるとは限らないことです.
  • 高 齢者の多くは環境の変化に弱く,病気で入院した場合,それまでしっかりしていた人が夜間に興 奮したり,徘徊したりして周囲を困らせたり転倒して骨折することがあります.また入院の原因となった病気が治っても,ほかの病気が出てくることもありま す.一旦治った後に,肺炎を再発することがあります.寝たきりでいると褥創(床ずれ)ができて,治療するのに入院期間が長くなったりすることもあります. 「お年寄りを入院させて,かえって病気が悪くなった」と言われることがあるのはこのためです.


■【治療の選択】御家族も,医療者も,できるだけ経口摂取させたいという思いは一緒です.
  • 食べられなくなった場合,そのままでは衰弱死します.昔は食べられなくなったら,それが最後と考えられていましたが,今日では病院や施設に入っている場合,経管栄養(胃ろうを含む)をするか,中心静脈栄養をするかが選ばれることが多くなりました.
  • 経管栄養または中心静脈栄養を受けるかどうかを選択・決断する場合,以下の問題についてお考え下さい.
    • 患者様ご本人が,そのような治療(ちりょう)を望んでいたかどうか.
    • ご自分が同じような立場であった場合,そのような治療を望むかどうか.
    • 自分が望まない治療を肉親にさせるのは,倫理的であるかどうか.

    • 経鼻経管栄養は,チューブが抜けて流動食が気管に入ると,窒息死することがあります.安全確保のために抑制(手袋をはかせる,手を動かせなくするなど)する必要があります.厚生労働省は,介護保険事業において「抑制ゼロ」をうたっております.その精神から考えると,経鼻経管栄養は問題のある方法です.
  • 医療は,説明と同意で行われるのが正しいあり方とされています.ご本人の意思で決めることが本来ですが,それが無理なら,ご家族がかわりに決めることになります.
    • 特定の医療行為(たとえば点滴)をする場合もしない場合も,説明と同意を要します.医療者は,このような処置をすることによって今後どのような状態になるかの正確な情報をご家族に伝えて,判断していただいております.





概説

 誤嚥に引き続いて発症する肺炎です。誤嚥は、明らかで大量の誤嚥よりも、不顕性誤嚥といって、口腔内分泌物や胃液が少量ずつ肺内へ吸引される誤嚥のほうが原因として重要です。この不顕性誤嚥にあわせて細菌が吸引され、肺炎が引き起こされます。とくに高齢者や脳卒中患者で多くみられます。

症状

 肺炎は一般に、発熱、咳、痰(たん)、呼吸困難、胸痛などを主な症状としますが、高齢者の場合、これらの訴えがはっきりしません。肺炎は、一般的に 38℃以上の高熱を起こしますが、高齢者の場合、体温の上昇をみないか、あっても微熱程度のものが少なくありません。それに対して、呼吸数は増え、皮膚や 舌の乾燥、すなわち脱水状態にあることが多いといわれています。「何となく元気がない」「食欲がない」場合でも肺炎を疑って検査を進める必要があります。

診断

 肺炎の診断は、胸のレントゲン検査で行われます。誤嚥性肺炎では低酸素血症に陥っていることが多くあります。オキシメータが広く普及しているため、胸部X線像とともにSpO2(動脈血酸素飽和度)をモニターすることが診断の参考となります。起因菌の同定のため、喀痰(かくたん)の培養検査を行います。気管支鏡で気管内採痰ができれば診断がより確実になりますが、患者さんの状態があまりよくないことが多いので、起因菌の同定は難しいこともしばしばあります。口腔内常在菌による不顕性の嚥下性肺炎の頻度が高いのですが、最も頻度が高いのは肺炎球菌です。

※文中にあるオレンジ色の文字にカーソルを合わせてクリックすると、用語の説明が表示されます。

http://health.yahoo.co.jp/katei/detail/?sc=ST040130&dn=2&t=key


http://www.jrs.or.jp/home/modules/citizen/index.php?content_id=11Last Update:2009年6月16日
[感染性呼吸器疾患]
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

誤嚥性肺炎とは?
  誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎です。高齢者に多く発症し、再発を繰り返す特徴があります。再発を繰り返すと耐性菌が発生 して抗生物質治療に抵抗性を持つため、優れた抗生物質が開発された現在でも、多くの高齢者が死亡する原因になっています。

誤嚥性肺炎はどうして起こるのですか?
  誤嚥性肺炎は、脳卒中や全身麻痺、あるいは麻痺などの症状のない脳梗塞において、神経伝達物質の欠乏によって、咳反射や嚥下反射の神経活動が低下して起こ ります(資料1)。咳反射や嚥下反射が低下しますと、知らない間に細菌が唾液と共に肺に流れ込み(不顕性誤嚥)、この細菌が肺の中で増殖して誤嚥性肺炎が 起こります(資料1)。また、胃液などの消化液が食べ物と共に食道を逆流して肺に流れ込み、誤嚥性肺炎が起こることもあります。

誤嚥性肺炎はどのように治療されるのですか?
  誤嚥性肺炎は、肺炎の原因となる細菌を殺菌する抗生物質で治療します。また、胃液を肺の中に吸い込んで肺炎になった場合、ステロイドを短期に用いて肺炎を 鎮める場合もあります。さらに、酸素欠乏(呼吸不全)になった場合は、酸素吸入を行います。重症の呼吸不全では人工呼吸器などによる治療も併せて行いま す。

誤嚥性肺炎は予防できるのですか?
 再発予防には、脳梗塞後遺症として使われるアマンタジンや抗血小板作用を持つ脳梗塞予 防 薬が有効です。これらの治療薬は咳反射や嚥下反射を改善し、脳梗塞を予防して誤嚥性肺炎を予防します。咳反射を亢進させる降圧薬である(1)ACE阻害薬 も有効であるという報告もあります。また、歯磨きを毎日して口の中の雑菌を減らしたり、食後に一定時間(2時間)座ってもらって胃液逆流を防ぐことも誤嚥 性肺炎の予防にとって大切です。さらに、高齢者では、歯ぐきをマッサージしますと、嚥下反射が改善して誤嚥性肺炎の予防に役立ちます。

(1)ACE:アンギオテンシン変換酵素


http://www.dental-shuttle.co.jp/ants/oral/sonof10.htm誤嚥性肺炎の原因と治療

  誤嚥性肺炎は、嚥下性肺炎または吸引性肺炎ともよばれ、誤嚥または誤飲を契機として発生する肺病変です。これまで、全身麻痺のときに起こる肺合併症として 知られていましたが、今日、誤嚥性肺炎は全身麻痺患者にかぎらず意識障害のある患者さんや全身状態が著しく低下した患者さんにもみられることがあります。
また、老年者の診療においては、しばしば遭遇する肺炎の一つです。

1)嚥下障害の原因

嚥下障害は、脳血管障害、口腔・咽頭・喉頭疾患、食道疾患などにみられ(表-1)、その結果、患者さんは低栄養、脱水症状、食べる楽しみの喪失、誤嚥性肺炎や窒息の危険など、さまざまな不利を被ることになります。
 これらの疾患意外に、気管切開、経鼻胃チューブの留置等の機械的要因も重要です。

表-1 嚥下障害の原因

A.器質的障害


B.機能的障害

口腔・咽頭


食  道


口腔・咽頭


食  道

舌炎、アフタ、歯周病

扁桃炎、偏等周囲、咽頭炎、喉頭炎、咽後膿瘍

口腔・咽頭腫瘍(良性、悪性)

口腔・咽頭部の異物、術後狭窄

外からの圧迫(甲状線種、腫瘍など)

その他


食道炎、潰瘍

ウェッブ(web、膜)

憩室(Zenker)

狭窄、異物

腫瘍(良性、悪性)

食道裂孔ヘルニア

外からの圧迫

頚椎症、腫瘍など

その他


脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷

脳膿瘍、脳炎、多発性硬化症

パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症

抹消神経炎(ギラン・バトレー症候群など)

重症筋無力症、筋ジストロフィー(各種)

筋炎(各種)、代謝性疾患

その他


アカラジア

筋炎

強皮症、全身性エリテマトーデス

その他

2)誤嚥性肺炎

a.発症機序

嚥 下運動は、通常、①口腔期(第1期)、②咽頭期(第2期)、③食道期(第3期)の三つの段階に分けられており、食塊の形成までを準備期、食塊の送り出しを 狭義の口腔期として区別する場合もあります。正常な嚥下のメカニズムについては(嚥下支援サイト)をご参考になって下さい。これらの過程が、相互に依存 し、高度に強調しあっているのです。

嚥下障害の主な病態は、①飲み込みの障害、②気道内への流入(誤嚥)に大別されます。誤嚥とは、正常な嚥下の過程において、食物が咽頭および気管に入り込むことと定義され、咽頭期に発生することが最も多いようです。
 誤嚥性肺炎は、食物、液体、胃内容物または咽頭分泌物を誤嚥あるいは誤飲し、気道系および肺胞系の防御機能により、これらを排除しえないときに発生します。

1、胃内容物の誤嚥
 嘔吐後などに胃内容物を誤嚥した場合は、直後に気管支けいれんが発症することが多く、ついで食物残渣による気管支閉塞、または胃液による化学性肺臓炎が起こり、著しい低酸素血症をきたします。

 このような病態において、咽頭細菌叢が肺内に吸引されると、細菌性肺炎を発症します。口腔内、咽頭、胃内に存在する細菌が関与し、口腔内では好気性菌よりはるかに多く常在している嫌気性菌も重要なのです。

2、微少吸引
 嚥下動作を伴わず、口腔内あるいは咽頭内容物が咽頭から気管へ落ち込む吸引または流入は、誤嚥とは区別しなければならない病態ですが、直接的または間接的に肺炎を惹起する可能性があります。

こうした状況において発症した肺炎は〝吸引性肺炎〟と呼ぶのが適当と思われますが、広義には誤嚥性肺炎と同様に捉えることができます。

b.予  防

.1.誤嚥防止
 誤嚥性肺炎は、基礎疾患をもった全身状態の低下した患者さんに発生しやすく、いったん発症すると治療は困難で、死亡率も高いため、発症の予防が大変重要になります。

そのためには、誤嚥を起こしやすい病態の改善が重要であり、それぞれの基礎疾患に対する治療、ならびに可能な限り機械的要因の除去が必要となります。
介護者の対応としては、誤嚥を起こしやすい患者さんの食事介助では、起座位または上半身をやや高くした体位とし、少量ずつゆっくり時間をかけて、患者さんの嚥下能力に合わせる必要があります。

食 道裂孔ヘルニアのある患者さんや、腹満があり嘔吐をきたしやすい患者さんでは、日常より排便のコントロールを行い、食後半座位の保持などの工夫により腹圧 をかけないようにし、食物残渣の胃食道逆流や嘔吐を防止するようにします。誤嚥に備えて吸引器を常備するとともに、痰の多い患者さんは食事前に吸引してお くことも大切になります。

2.口腔ケア
 加齢により唾液の分泌量は低下するため、口腔内の清潔度は低下し、各種の細菌が繁殖してきます。また、残存歯が少なくなると、咀嚼、発音に支障をきたすので、患者さん自身の口腔管理に加え、介護者による清潔の援助すなわち〝口腔ケア〟が必要となってきます。

  口腔ケアが適切に行われると、口腔内の汚れは取り除かれ、唾液の分泌は促進し、自浄作用も働き口腔内分泌物は清浄化されていきます。したがって、口腔・咽 頭粘液が微少吸引により下気道に流れ込んでも、ただちに肺炎を発症する可能性は少なく、特に就寝前の口腔ケアは、寝たきり患者さんの肺炎の予防に有効と考 えられます。


 背景

 日本人の死亡原因、三大疾病である悪性新生物(ガン)、心疾患、脳血管疾患に続き4位に肺炎があります。 肺炎を原因とした65歳以上の死亡率が96%と非常に高く、90歳以上では死亡原因第2位に順位があがります。
 高齢者の肺炎は、誤嚥【ごえん】(口の中の唾液、たん、食べ物が気管の中に入り込むこと)によって、口の中の細菌が肺まで到達し炎症を引き起こすことが起因していることが知られてきました。
 脳血管障害(脳梗塞、脳内出血)や、パーキンソン症候群、アルツハイマー型痴呆症(認知症)の方は、嚥下障害(飲み込みの障害で喉の神経や筋肉が正常にはたらかない)があり、肺炎を起こしやすいのです。
 一度食べた食事が、胃から食道に逆流して誤嚥して起きることもあります。便秘や大腸ガンなどで腸の通過が悪くなって嘔吐したときに吐瀉物【としゃぶつ】(体外に吐き出された胃の内容物)を気管に吸い込んで起きることもあります。
 経鼻経管栄養(鼻から胃に管を入れて栄養剤を入れる)や、胃瘻【いろう】 (おなかから胃に管を入れ、栄養剤をいれる)の場合も発症することがあります。胃瘻のほうが、経鼻経管栄養より肺炎の発症が少ないようですが、まったく発症しないわけでもありません。
 高齢者の肺炎は、夜つくられると言われるそうです。健康な老人であれは夜ぐっすり寝ていても飲み込む動作はあまり低下しないのですが 、脳血管障害のある方や向精神薬(鎮静剤など)を服用している方は、熟睡しているときに不顕性誤嚥【ふけんせいごえん】(胃液が肺の中に入る)を起こすこ とがあります。

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 誤嚥性肺炎【ごえんせいはいえん】

 飲み物や食べ物を飲み込む動作を嚥下【えんげ】と言い、食道を通って胃に運ばれます。食道と気管は隣り合わせで、気管の入り口(喉頭【こうとう】)が大 きく開いており、このままでは飲み物・食べ物が気管に入ってしまいます。それを防ぐためにフタの役目をもつ喉頭蓋【こうとうがい】という軟骨からなる部分 が、嚥下の動作により気管の入り口をふさぎます。

 健常者でも誤嚥はしますが、吐き出そうとする動作(咳やむせ)により気管から出そうとします。 誤嚥により口の中の細菌が気管や肺に入り込んでも、体力や抵抗力・免疫力により細菌を駆除できるので、生活していく上でさほど影響はありません。

 高齢や脳の病気などの影響により嚥下機能の低下がある場合、うまく飲み込めず、喉頭蓋の動きが低下し、誤嚥した際の咳やむせといった動作も鈍くなり、気 管への誤嚥を招いてしまいます。 誤嚥によって口の中の細菌が気管や肺に入ってしまい、体力・抵抗力・免疫力の低下などにより細菌を駆除することができす、細菌性の肺炎にかかる危険度が増 します。

誤嚥イメージ

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 口腔ケアの必要性

 日常の歯磨きや入れ歯の清掃・手入れなどを行っていない場合や不十分な場合、口の中で細菌が繁殖を続けています。口の中をきれいにすることで細菌を減らし、誤嚥性肺炎のリスクを低減させることができます。
 当白水会では、ご依頼があれば居宅、施設等に訪問し「口腔ケア」を実施しております。詳しくはこちらのページをご覧下さい。


<肺炎発症率>

グラフ

(米山武義ら:要介護高齢者に対する口腔衛生の誤嚥性肺炎予防効果に関する研究、日本歯科医師学会会報誌2001 より引用)

http://www.hakusui-kai.jp/1-4.html


http://www5d.biglobe.ne.jp/~taberu/goennseihaienn%20.htm

誤嚥性肺炎(嚥下性肺炎)


  脳性麻痺の方やご老人は呼吸器疾患(肺炎)で命を落とされることが多くあります。肺炎の原因はいろいろありますが、嚥下障害があると、口の中の細菌で汚れ た唾液や食物を気管へ吸引してしまいます。そうやって起きる肺炎を誤嚥性肺炎、または、嚥下性肺炎と呼びます。体力が弱って、咳き込む力が弱かったり、痰 となって自然に汚物を出すことができないために肺炎になってしまうのです。繰り返し誤嚥を続けていると、反射も低下して、熱もさほど出なくなり、肺炎との 判断が難しくなってきます。そうするうちに、次第に重篤になってしまうのです。

 

気管のほうに食物が入ってしまう(赤い部分) 反射が弱い場合は、喀出ができない。

 

  • 食事時の姿勢に注意を払う。

  • 体力をつけること。低栄養や水分不足は禁物。(経管栄養や胃ろうとの併用も考慮してみる)

  • 口腔ケアで口腔内を清潔にして、細菌数を減らし、誤嚥しても被害を最小限にとどめる。

  • 食べた後、すぐ横にしない。(胃食道逆流の防止)

  • 食べる前に嚥下体操で準備運動。(一口目が一番誤嚥しやすい)

  • むせないから誤嚥していないとは限らない。(咳反射が低下している場合がある)

  • むせるから経口摂取が無理とは必ずしも言えない。(調理形態、介助法、姿勢などで軽減させることができる)


お奨め図書「命を狙う口の中のバイキン」奥田克爾著 一世出版


 

口腔乾燥と誤嚥

  寝たきりで口を閉じる事ができず、口で息をしている(口呼吸)方の場合、口腔が極端に乾燥し、嚥下がスムーズに行かなくなっているケースによく遭遇しま す。こういう方は、痰も固く切れが悪いです。舌の動きも悪く、安静時の嚥下がうまくいかなくなります。口腔内の雑菌も容易に繁殖し、誤嚥の危険性も増しま す。口腔内の加湿・保湿を積極的に進めることが必要です。

呼吸機能

 誤嚥を起こすケースでは、十分な呼吸運動ができない方に多いようです。咳嗽反射がうまくいかないのは、この呼吸機能の低下によります。脳幹に障害がある場合、特に深刻です。肺理学療法の出番です。脳性まひ児の場合、脊柱の側わんが進行することにより呼吸や嚥下機能を阻害してきます。口だけいじっていても食べる事や飲み込む事はそれほど改善しません。全身の機能をどのように高めるか、高めていけるかで、摂食嚥下機能障害への取り組み方も変わってきます。

 

痙性と舌骨下筋および頸部筋群

 脳 性麻痺の頸部の緊張性の後屈、嚥下時の舌の突出など、異常嚥下については、理学療法的に姿勢制御やリラクゼーションで痙性の軽減をおこなっている。しか し、上下肢の筋構成に比べて、嚥下に関係する筋群は解剖学的に大変複雑であり、機能的にも複雑な動きをしているためにコントロールが大変難しい。効果も今 ひとつである。頸部筋群の手術療法で、異常姿勢の改善や呼吸が安定することにより、摂食機能も改善した例がある。脳性麻痺の摂食指導については、今一度原 点に戻り、そのあり方を検討する時期に来ているようだ。

 

寝たきりの方の入れ歯と口腔内

 しろっぽいところはバイキンの塊。

 口腔の機能が悪いと自浄作用も落ちて汚れが繁殖しやすい

 話す、食べることがないと口腔内の環境はとたんに悪くなる。

 嚥下の機能低下があるとこれらのバイキンが気管を通して肺に入ってしまう。



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